高圧縮とデジタルノイズ(2004/02/12更新)



  DivX5.11、WMV9VCM、XviD、VP6の4つのAVIコーデックを高圧縮で使用するとき、
  どのようなノイズが出るのか、またはどのように画質が劣化するのかを調べました。
  コーデックの持つ弱点を知ることによって、最適なビットレートや設定、コーデック選択が
  できるようになるかもしれない、という期待を個人的に持っているからです。

  上記の4つのコーデックに関しての情報がありましたら、掲示板へ書き込みお願いします。
  ノイズパターンの知識やノイズをやわらげる設定などがありましたら教えてください。



  DivX5.11の高圧縮時のデジタルノイズパターン

  1、足引きノイズ
  動く物体の軌道上に現れるノイズです。これは、Iピクチャから続くフレームに見られます。
  P、Bピクチャは、Iピクチャの情報を参照して1枚の画像を作ります。しかし、そのピクチャの差分が
  低ビットレートにより上手に伝わらない場合に起こります。
  例:真っ白なはずの場所に張り付いたように残る軌跡
  
  赤で囲んだように、物体が動いた跡に映像の破片が残ります。


  2、ブロックノイズ
  DCTによるものです。MPEGに見られるものと同じ原理です。
  ビットレート不足により波の情報が減ったため、ブロック化するものです。
  例:ボールのはっきりとしたでこぼこを、波が減衰しているため表現できなくなる
  
  このように、高ビットレートではボールの表面のでこぼこが表現されていますが、
  低ビットレートでは、ブロックが重なり合っているのが見えるだけです。


  3、グラデーション減色
  色のダイナミックレンジが損なわれると同時に、DCTの波の減衰によりブロック化により減色します。
  また、ダイナミックレンジが損なわれているので、白が白、黒が黒で無くなります。(ボールの映像の白背景参照)
  例:カラーグラデーションが失われている。
  
  このように、階調が失われ見苦しくなります。


  4、脈動
  静止状態にある映像が、Pピクチャ劣化やBピクチャ劣化の影響を受け、もぞもぞ動く現象です。
  静止画では表現できません(汗
  静止した部分でも動くのでかなり目立ちます。



  WMV9VCMの高圧縮時のデジタルノイズパターン

  1、足引きノイズ
  DivX5.11と同様に、ノイズが見られます。
  例:真っ白なはずの場所に張り付いたように残る赤い軌跡
  
  ただし、DivXよりは薄いと思われます。


  2、ブロックノイズ
  かなり特殊です。ブロック化はかなり激しいですが、ブロック化がぼやけて起こります。
  例:ボールのはっきりとしたでこぼこを、波が減衰しているため表現できなくなる
  
  なだらかにぼやけながら、ブロック化している様子がわかります。
  詳細な背景は失われるものの、隣のブロックとの境界線がわかりづらいと思います。


  3、グラデーション減色
  やはり、DCTの波減衰の影響で減色が激しいようです。
  例:カラーグラデーションが失われている。
  
  DivX5.11と同等の性能なのかもしれません。ただし、ダイナミックレンジは失われません。


  4、境界線破損
  WMV9VCMはブロックノイズが目立たないでぼやけながら画質を保とうとする性質があります。
  その時に、映像の線が破損する場合があります。
  例:四角いブロックの黒枠のパターンが崩れる
  
  動きの激しい場所では顕著に見られます。DivX5.11とは別のタイプの破綻であることが確認できます。
  まわりの色からサンプルを取り、「目立つ波成分であっても塗り潰す」といった感じでしょうか(汗



  XviD-1.0の高圧縮時のデジタルノイズパターン
  1、足引きノイズ
  DivX5.11やWMV9VCMと同様に、ノイズが見られます。
  例:真っ白なはずの場所に張り付いたように残る軌跡
  
  かなり目立ちます。何故か緑成分が激しく出てしまっています。


  2、ブロックノイズ
  DivX5.11と同様のパターンに見えます。
  例:ボールのはっきりとしたでこぼこを、波が減衰しているため表現できなくなる
  
  ブロック化の激しさは、DivXと酷似していると思われます。
  ただし、微妙に波が減衰していないブロックもあります。


  3、足引きノイズ破綻
  DivX5.11やWMV9VCMに見られるカラーグラデーション減色は見られませんが、
  代わりに動きがあるシーンで足引きノイズの影響を受けて破綻が見られます。
  
  他のコーデックと違い、動きベクトルやBフレームに問題があるのかもしれません。
  デコーダの調整不足である可能性もあります。

  4、キーフレームの画質ダウン化ブロック
  シーンチェンジフレームがブロック化します。その後3フレーム程度に渡りブロックの修正が始まります。
  シーンチェンジフレームの映像が複雑であるほどブロック化が激しいと思われます。
  シーンチェンジから遠い静止画フレームは綺麗であるので、問題はキーフレームにあると思われます。
  キーフレームにおけるビットレート不足による破綻が激しいと言えるのではないでしょうか。



  VP6の高圧縮時のデジタルノイズパターン

  1、カラーバランス変化
  足引きノイズも目立たなく、非常に優秀ですが、WMV9VCMと同様の「ぼかし処理」が働きます。
  それでいて、ブロック化による破綻は少ないのですが、色が変わってしまう様子が余計に目立ちます。
  例:ボールの色が赤白っぽくなっている
  
  気付かない人も多いと思います。他のコーデックでも変わっているのですが、
  ブロック化が無いために綺麗なので色変化が際立って目立ちます。


  2、粒子ノイズ
  全てのビットレートにおいて、粉状のノイズが見られます。
  不規則なアルゴリズムで出現し、デジタルとは思えないアナログ的なノイズが出ます。
  例:灰色一色のシーンにおけるノイズ(4倍拡大)
  
  静止画ではなく動画で見るとわかりやすいノイズです。全フレームに存在します。(見えない人もいるかも)


  3、ソフトブロックノイズ
  ぼかしフィルタをかけたように映像がつぶれます。非常にソフトです。
  
  このように、細部を完全に「作り変える」ようです。ブロックノイズではなくソフト変換ぼかしノイズと言えるかもしれません。
  ブロックノイズが出るより、美しい処理であると思われますが、好ましい事ではありません。




  この実験の問題点

  1、ビットレート設定が低すぎる
  2、設定が下手かもしれない
  3、動画じゃない

  という問題点です。動画は静止画の連続体ですが、連続していると見えるものもあるわけでして。
  前の実験のページに今回使用したサンプルが置いてあります。
  動画で実際見てください。自己判断はそこでお願いします。



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