普及してきたSSDについて(2010/04/11更新)



  普及価格帯になってきて、珍しくなくなったSSDについての情報です。



  はじめに〜SSDの時代初期から今までの流れ

  SSDが新しいといっても、すでに2000年頃からコンパクトフラッシュから起動するWindowsやLinuxはありました。
  しかしコンパクトフラッシュのインターフェースでは、データ転送速度が遅く、容量も少なく普及しませんでした。
  ところが、2006年頃から、IDEやS-ATAインターフェースを持つ「HDDより速い」というSSDが販売され始め、
  2007年〜2008年にかけて良い製品がどんどん出荷されてきました。
  しかし、2010年になろうとしている今でもSSDの値段は普及価格帯まで下がっていません。
  パーツの中で一番高い製品になり得るSSDについて、私の持っている情報を書き記しておきます。



  次に〜SSDとHDDが何かを知る

  SSDを知るには、まずSSDとHDDの違いを明確にしなければいけません。
  両方とも「同じ仕事」をするパーツです。二次記憶装置(補助記憶装置)というもので、大切なデータを保管する入れ物です。
  じゃあ何が違うのかというと、SSDが半導体のフラッシュメモリで、HDDが磁気ディスクという点です。
  フラッシュメモリは半導体のため、音がほとんどしません。HDDは円板の磁気ディスクのため、モーターの回転音および
  円板を読み取るアームの動作音(シーク音)がします。
  フラッシュメモリは「半」導体であり、書き換え寿命があります。HDDは磁性体の溝なので、書き換えの寿命は
  気にしなくてもいいです。
  フラッシュメモリは回転していないので消費電力が少なめです。
  HDDは常時回転していたり、円板とアームを動かすモーターの電力が必要です。
  フラッシュメモリの故障の原因は、コントローラ(チップ)が壊れることです。
  HDDの故障の原因は、コントローラの焼失、モーターの不具合、アームの不具合、アームと円板の衝突(クラッシュ)です。

  といったように、中身は全くの別物です。ここまでの基礎知識は最低限持っていて損はありません。



  SSDとHDDの性能差

  同じ二次記憶装置なのに、どうしてSSDが生まれたのでしょうか?
  それは性能の差があるからです。
  下の表に性能の違いをまとめました。

  SSD HDD
静音性 ほぼ無音 30dB近くの騒音
重さ 60〜150g 120〜900g
ギガバイト単価 200〜2000円 8〜180円
消費電力 0.1W〜6W 1.5W〜25W
普及価格帯容量 64GB、128GB 1TB、1.5TB
シーケンシャル読み込み速度 50〜270MB/s 50〜120MB
4kランダム読み込み速度 8〜40MB/s 0.1〜1MB/s程度
シーケンシャル書き込み速度 50MB/s〜200MB 30〜110MB/s
4kランダム書き込み速度 0.1〜50MB 1〜2MB/s
          ※データは2009年11月 ジャンパーによる調査結果(価格.COM様および2chの自作板SSDスレッドより)

  といったように、SSDはHDDに勝っている性能が多々あります。(緑:勝、赤:負、黄:引き分け
  SSDがいかに優秀であるか分かってもらえると思います。
  ただし、製品により価格や性能は大幅に違います。SSDだからといって、HDDの性能を超えていない場合もあります。



  SSDの分類

  HDDと比べた場合、SSDは「静音性」「重さ」「読み書き速度」で勝っている面が多いことがわかります。
  しかし、このSSDの性能は「ピンキリ」で、驚くほどすごいものから残念なものまであります。
  そこで、SSDを分類してみました。下の表をご覧ください。

コントローラ
/セルレベル
Intel
(SLC)
Intel
(MLC)
Mtron
(SLC)
Samsung
(SLC)
Samsung
(MLC)
Jmicron(v2)
(SLC/MLC)
INDILINX
(SLC)
INDILINX
(MLC)
その他 SSD
連続読込速度 240MB/s 240MB/s 110MB/s 100MB/s 210MB/s 170MB/s 230MB/s 230MB/s 60MB/s
連続書込速度 200MB/s 90MB/s 100MB/s 90MB/s 120MB/s 80MB/s 190MB/s 90MB/s 40MB/s
4kランダム読込速度 17MB/s 22MB/s 40MB/s 25MB/s 25MB/s 20MB/s 30MB/s 25MB/s 10MB/s
4kランダム書込速度 29MB/s 50MB/s 0.2MB/s 2MB/s 5MB/s 0.1MB/s 30MB/s 7MB/s 0.1MB/s
平均消費電力 2W 2W 2W 2W 2W 3W 3W 3W 4W
静音性 無音 無音 無音 無音 無音 無音 無音 無音 無音
故障・初期不良報告件数 8件 11件 14件 2件 2件 24件 7件 36件 不明
プチフリ・ガチフリ 無し 無し 無し 無し あり あり 不明 不明 不明
残領域減少の速度低下 あり あり あり あり あり あり あり あり あり
        ※故障件数は2007年1月〜2010年03月までWEBサイト調査結果。ファーム書換失敗などは含まない。
        速度結果は信憑性が高いCrystalDiskMark2.2の平均値。

  というようになっています。ベンチマーク速度は正確であっても、一部のSSDで「プチフリ」が起こり使用感を損ないます。
  また、ガチフリで数分間待たされることもあります。
  また、使い込むと速度低下を引き起こします。さらに、ディスク使用率90%を超えると書き込み性能が劣化します。



  どのSSDがいいの?

  どのSSDがいいのかは、自分自身で決めるしかありません。
  まず、どういう使い方をするかで決めます。左からお勧め順になっています。

  OSシステムディスク(起動ディスク)で使う→Samsung SLC(0VA系)、Intel SLC、INDILINX SLC、Mtron SLC
  データドライブ(データ保存庫)で使う→容量が大きい256GB〜512GBのMLC

  上記が大前提です。しかしSLCのSSDはこの不景気の中で購入しにくい値段です。
  そこで、値段の配慮をした場合は次の通りです。

  OSシステムディスク(起動ディスク)で使う→Intel MLC、東芝 MLC
  データドライブ→ギガバイト単価が安い128GB以上のMLC

  という構成がお勧めです。誰でも辿り着く妥協点だと思います。

  なお、価格・安定感・速度のバランスを考えるとIntel 80GBのSSDが一番良いのではないでしょうか。



  SSD愛好家の私の実際の評価

  なんか上記で、WEB調査結果ばかりでインターネット調べればわかるようなこと書いてますが、
  実際に私は上記に至るまで相当の出費をしています(14台、33万)。
  私の環境の一例のベンチマーク結果と使用感(個人的な感想)を記します。(Intel MLCは後日 新PCが来てから)

  1、噂のプチフリ環境JMicronのシステム
  
  使用感:PV4録画用パソコンでOSはVista、システムSSD、録画領域1TBのHDD、PCIがPV4、PCI-E16がRADEON4350の環境です。(Cubeベアボーン)
  起動は電源ボタンを押してから36秒(うちBIOS画面8秒)で自動ログインしてデスクトップにサイドバーが表示されます。
  かなり気持ちよく起動しますが、iTunesをインストールするのにプログレスバーが止まり、10分かかります。
  大物のソフトウェアをインストールするたびにイライラしますが、PV4録画する目的までしっかり動作するので常時作業しなければ、
  非常によいSSDだと思います。たまにしか使わないパソコンで、読み込みがHDDより速いほうがいいならJMicronでいいかもしれません。
  逆にこだわりがなければ500GBプラッタのHDDを買ったほうがいいと思います。

  2、投げ売りされてたMtronのSLCシステム
  
  使用感:PT1録画用パソコンでOSは7の64bit、システムSSD、録画領域1TBのHDD、PCIがPT1、グラフィックがオンボードの環境です。(Mini-ITX環境)
  起動は電源ボタンを押してから30秒(うちBIOS画面10秒)で自動ログインしてデスクトップにガジェットが表示されます。起動動画はこちら
  Windows7なのでかなり気持ちよく起動します。iTunesのインストールはスムーズですぐに終わります。
  ベンチマーク結果は微妙ですが、読み書きのバランスは良いです。ただし、なんとなくですが「インストールの引っかかり」がある気がします。
  フリーズではなく、なんとなく同期がとれてないというか・・・。まぁインストール作業をずっと見てることはないので問題ないです。

  3、みんながお勧めするSamsungのSLCシステム
  
  使用感:録画したデータを見る、BD-Rに焼くパソコンでOSはXP、システムSSD、データ1.5TBのHDD、グラフィックがオンボードの環境です。(Mini-ITX環境)
  起動は電源ボタンを押してから33秒(うちBIOS画面15秒)で自動ログインしてデスクトップにCyberLinkのユーティリティが表示されます。
  気持ちよく起動します。iTunesのインストールはスムーズで明らかにSSDを使っている気分になれます。
  ベンチマーク結果通りの働きで、バランスはHDDより良いためディスク書き込み作業があっても何も気になりません。
  ただし、やっぱりベンチマーク通りで、「驚くほど」ソフトウェアの起動が速いとかは感じません。

  4、投げ売りされてたMtronのSLCを2台使ったRAIDシステム
  
  使用感:エンコードと軽いオンラインゲームをするためのPCで、OSは7の64bit、システムRAIDのSSD、グラフィックオンボード(GF9300)です。(Mini-ITX環境)
  起動は電源ボタンを押してから72秒(うちBIOS+RAID画面42秒)で自動ログインしてデスクトップにガジェットが表示されます。
  どう考えても起動が遅いです。ただし、iTunesのインストールはスムーズで明らかにSSDを使っている気分になれます。
  起動してしまえばベンチマーク結果通りの働きで、ゲームの起動とかローディング時間がHDDと違うと体感できるほど激速です。
  ただし、SSD1台13000円、RAIDカード14000円の計4万円コースなので、良いSSDを1台だけ買ったほうが良いかもしれません。

  5、リファビッシュ品のSLCを使ったIndilinxのシステム
  
  使用感:AdobeCS4を使うためのPCで、OSは7の64bit、システムはindilinxのSSD、グラフィックはRADEON5450です。(Mini-ITX環境)
  起動は電源ボタンを押してから28秒(うちBIOS画面12秒)で自動ログインしてデスクトップにガジェットが表示されます。
  起動はそこそこです。Adobe CS4のインストールはスムーズでしたが、50分かかりました。HDDでも70分かかるのであまり参考になりませんね。
  ベンチマーク結果通りの働きで、PhotoShopの起動、AfterEffectの起動は体感できるほど激速です。
  リファビッシュと思われるSLCチップのため、最初から初期不良セクタがありますが、気にしなければ問題ありません。



  SSDのファームウェアについて(2010/04/11更新)

  SSDにはファームウェアという、コントローラチップ用ソフトウェアがあります。
  このファームウェアは書き換えが可能で、SSDに起こる不具合を修正したり、速度向上やTrimができるようになるものがあります。
  まず、ご使用になる前に、ファームウェアのバージョンなどを確認してください。
  SSDを購入されるほどPCに詳しい方に説明するのも気がひけますが、SSDが故障してからでは遅いので念のため。
  私が管理しているSSDでファームウェアのバージョン確認が必要なのは次の通りです。

  MtronのSLCのSSD(7500/3500/7000/3000) → 0.20R1必須
  起動時の不具合などが修正され安定します。速度が良くなるとかではなく、長く使いたいなら0.20R1にしてください。
  このバージョン以外だと起動時の認識でコケたりしました。
  なお、Mtron社サイトが2010年2月の後半に消えましたので、ファーム書き換えは難しくなっています。

  IndilinxのSSD(Barefootコントローラ) → 1916以上(1916以上が最適であると判断されているようです。)
  ウェアレベリングやSMART値など、全般の動作で不安が残るコントローラなので、それが修正されている可能性が高い、
  1916以上が好ましいと判断しています。なお、Indilinxは最も壊れやすいSSDのコントローラとして、
  プチフリのJMicronより黒歴史を作る可能性を秘めています。2010年1月でやっと使い物になりました。

  IntelのSSD → 公式ツール出ています
  2009年9月に公開したファームウェア自体に不具合がありましたので、2009年12月までファームアップの公開は中止されていました。
  2010年からはISOファイルがありますので、ダウンロードしてCD-Rに焼いてファームウェアをUPできます。

  SamsungのSSD → シリーズによっては必要
  PB-22Jは18C1以降が良いと聞きますが、私の持っているSSDではファームウェアアップなどの手段がありません。
  PB-22JやそのOEM品のファームウェアが更新されたようです。
  SLCのものは、買ってすぐ使ってそのまま2年間無事故です。

  JMicron系 → 買ってそのまま
  5台使っていますが、ファームウェアとか気になりません。期待しても無駄でしょうし。
  JMF612はファームウェアの更新があるようです。

  東芝系 → 買ってそのまま
  ノートPCに初期搭載されていたものなので、良く分からないけど安定しています。



  SSDの相性問題について(2010/01/01更新)

  SSDには相性問題が存在します。
  相性問題があるとSSDを有効に使えませんし、データが失われます。
  とりあえず、私が持っている環境での相性の検証データを残します。

  ICH7+JM602→OK。
  ICH7+Mtron(0.20R1)→NG。HDDと認識せず使用不可能
  ICH9M+Indilinx(1881)→OK。
  ICH9M+Mtron(0.20R1)→OK。
  nforce730i+Indilinx(1881)→NG。認識するがNTFSファイル領域破壊を起こし認識しなくなる。
  nforce730i+Mtron(0.20R1)→NG。使えないことはないが、通信がおかしい。
  nforce730i+JM602→OK。
  HTP RAID23x0+Mtron→OK。ただし認識が遅い。
  ※ICHには同じバージョンでも数種類があるので注意してください。(例、ICH7、ICH7M、ICH7R等)
  ※そのバージョンの差で相性が出たり出なかったりするので、お使いになられているPCの仕様の確認をお願いします。

  相性問題には数種類あります。その症状と原因と思われる事象を記します。
  (1)SSDをATAデバイスとして認識しない。Unknownデバイスとなり全く利用できない。
  原因:電圧不足、電流不足、機器間のプロトコルが合致していない。
  (2)フォーマットできて認識するが、使っているうちにドライブが見えなくなる、PCが固まる。
  原因:通信プロトコルヘッダーの欠損、通信自体の不具合。
  以上の症状を確認しています。原因はまだはっきりわかりません。
  調査できる範囲でしてみます。



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